細田ゼミ 卒業研究の概要(2024)
産業従事者の主体性に基づく地方活性化の検討-長崎県雲仙市の煮干し産業から学ぶ―
超高齢社会に伴う地方社会の衰退が危ぶまれ、地方産業活性化のための取り組みが様々に行われる中、行政機関によって行われる支援には、未だ課題が多くみられます。そこで本研究では、産業従事者自ら前線で活躍する地方産業活性化の取り組みに着目し、「全国煮干しサミットin雲仙大会」という実例をもとに、地方産業活性化の在り方について検討しました。
具体的には、①地方産業PRイベントにおける、携わった人々の特徴や関係性について、また②イベント開催によって、産業従事者が特に影響を受ける実施効果の本質について、それぞれ二つの問いを立て、先行研究の分析や「煮干しサミット」に携わった産業従事者らへのグループインタビューなどを通して明らかにしました。加えて、一連の調査から、産業従事者らの主体性や能力の発揮、また地方産業の本来持つ魅力の再認識が、従来の地方活性化にいかに影響を与えるかについても、多面的な考察を行いました。(筆者 N.T.、2025年1月完成)難民問題系サークルに所属する大学生の意識~入部動機とその後の進路に着目して~
近年、難民や移民に関する問題が国内外で発生しているところ、殊に日本において、大学生などの若者の間で難民支援への注目が高まっています。しかし、先行研究によれば、若者がどのような意識を持って難民支援に携わるのか、難民の支援活動がその若者の将来の活動や進路にどのように影響するのかなどについて明らかになっていません。そこで、本研究では、大学生がサークル活動として難民支援に関わることの意義について探るため、難民問題に関わるサークルおよび難民問題系サークル以外ボランティアサークルに所属する大学生、大学院生、大学卒業生を対象に半構造化インタビュー調査を試みました。調査の結果、①難民問題系サークルに所属する大学生は、大学入学前の教育が難民問題系サークル入団の意思決定に影響を与えていること、②大学卒業後も活動継続の意思が見られ、難民支援に関わる進路の選択にも影響を与えていることが分かりました。また、②について、主に、サークル活動を通じて得られる難民との直接的な関わりや、様々な難民支援に関わるアクターとの連携により、彼らは活動の社会的意義を認識していると考察しました。今後の難民支援に関し、大学入学前の早い段階で、様々な社会問題について主体的に考える機会と、他の難民支援団体との連携が、難民支援の輪を広げることに繋がると考えます。(筆者 K.N.、2025年1月完成)