細田ゼミ 卒業研究の概要(2023)
マイノリティへの配慮をどう実現するか—長崎大学生協のハラールフード対応を事例に
多文化共生社会の実現には、マイノリティへの配慮や支援が必要なことは明らかだ。先行研究によると、現在行われている政府や企業による多文化共生やダイバーシティ推進の取り組みには数多くの問題点があるされる。そこで本研究は、マイノリティへの配慮を実現させるために有効な手段を見つけ出すことを目的とし、長崎大学生協のハラールフード対応を事例として取り上げた。マイノリティ研究では、配慮する側に着目する研究が少ないため、本研究では配慮する側と配慮される側両方の意見を調査した。ムスリム留学生と生協職員へのインタビュー調査を行った結果、①長崎大学に在籍するムスリム留学生が食生活で直面する困難、②ハラールフード対応に際して長崎大学生協が直面する困難、③長崎大学でのハラールフード対応はどのように実現可能か、の3点が明らかになった。調査を通じて、両者とも生協でより多くのハラールフードが提供されることを望んでいるが、両者が率直に知識や意見を交換できるコミュニケーションがないことが、実現に向けた主たる障害になっていると述べた。(筆者 E.I.、2024年1月完成)
大村入国管理センターにおける入管収容施設での支援の特徴と今後の展望
近年、出入国管理庁(以下、入管)の収容施設における収容の実態についてはメディアや研究で大きく取り上げられるようになった。一方で、被収容者の支援を行う者についての研究はほとんど行われていない。そこで本研究では、長崎県大村市にある大村入国管理センター(以下、大村入管)で支援活動を行う6名にインタビュー調査を行い、各自が支援活動を行うようになった経緯、具体的な支援活動の様子、支援者同士の関係性や役割分担について伺った。また、全国の他の入管収容施設で支援を行う団体との比較も行った。大村入管における支援活動の特徴として、支援者個人の強みや経験を生かした重層的な支援が行われている点や、宗教関係者と非宗教関係者で支援を行うに至った経緯が大きく異なる点などがある。さらに、大村入管では個人や小グループによる支援活動が中心であることから、本研究では最後に個人ベースでできる支援活動の例を提示した。(筆者A.K.、2024年1月完成)